2010.08.12 Thu
【私的音楽評】No.60 かまちゃんセレクト 担当かまちゃん

このたび初めて書かせていただきます、かまちゃんでございます。
親愛なる篤司君より依頼がありましたので、さほど蘊蓄はありませんが独断で書いてみようと思います。
起稿にあたり、何について書こうかいくつか候補が頭の中で思い浮かびましたが
これに決めました。
1973年発表 井上陽水 『氷の世界』です。

日本で初めてミリオンセラーを達成したアルバム。もちろん当時はレコード。
3カ月でたしか、135万枚のセールス、その後も数年にわたり着実にセールスを伸ばして行った名盤です。
今では200万枚もさほどニュースになりませんが、やはり当時としてはすごいことであったわけです。
でも僕はリアルタイムで聴いていたわけではありませんでした。
と言っても、入手したのはほんの数年後ですが。
73年の時代背景と言うと、僕が小学6年生でしたから日本の高度成長期が円熟していた時期ですかね。
子供なので経済のことはよく覚えていませんが、為替が固定相場制から変動相場制に移行した年でもあり、家の中の備品なんかも少しづつ文化的になって行った気がします。
ただ、今思い起こしてみると、音楽に関しては間違いなくこの年の前後あたりから、曲が世に出ていく手段というかメディアチャンネルが劇的に増えていったような気がします。
時代背景、日本人の購買力や文化レベルの上昇、色んなものがこの『初』ミリオンセールスには反映されている気がします。
ちょうど同じころ、新御三家と言われた、郷ひろみ・野口五郎・西城秀樹が圧倒的人気を得ていました。
併せて花の中3トリオなる、山口百恵を筆頭とした女性アイドルが先頭を切り、次々とアイドルが生まれていった初期でもありました。それは形を変えながら今の時代へと続いています。
彼らは平凡(現廃刊)、明星などの芸能情報誌や、TV・ラジオなどで見聞きしない日はないくらいの露出。
必然的に発売する楽曲もヒットの連発でした。
ただ僕にとっては彼らは少し、お兄さん・お姉さん。
ちょっと興味の対象でもなく、また自分もそういう興味を持つには少し幼かったと思います。
そんな僕は13歳で初めてギターを手にします。
大体男性の9割は一度はギターを手にすると思いますが、コードFやB♭あたりで挫折して、それ以降は興味の対象から離れていくようです。
幸せなことに僕は逆にのめり込んでいったようです。
自然と僕はアイドルよりも、ギター→その系統のアーティストの傾注していきました。
当時、ギター少年たちはだいたい3パターンに分けることが出来ました。
それは、吉田拓郎派、かぐや姫派、そして井上陽水派。
(あ、今はそうでもないでしょうが、僕らの頃はエレキから入った人は少ないと思います)
僕の周りは、ギターを弾くやつらがそれほど多かったわけではありませんが、圧倒的にかぐや姫派が多くて次に拓郎派、そして陽水派はほとんど居ませんでした。
それもそのはず、陽水は極端にメディアの露出が少なかったからです。
TVなんかはずっと出演拒否していました。
僕の場合、そんな井上陽水とはどんな人なんだろうという興味本位から入り、のめり込んでいきました。
そして、『氷の世界』を知った時にはすでに、発表から数年が経っていたと言う訳です。
自分の話はともかくこのアルバムですが、それまでフォークソングとカテゴライズされていたアーティストのアレンジといえば、まさにアコースティックギターが前面に押し出されている、アコギありきのものが圧倒的に多かったのですが、このアルバムは海外で一流ミュージシャンを従えて録音されたこともあり、斬新でした。
今で言う、バンドサウンド。僕にとっては衝撃的でもありました。
A面4曲目のタイトルチューン『氷の世界』のEギター2本&Eベースのユニゾンのリフを聞いた時は何の音か全く分からず、後にあれが『オーバードライブ』なる歪みの音と知りこれまた衝撃。
A面1曲目の『あかずの踏切』は陽水が三鷹に住んでいるときに書いた曲ですが、僕も都内に在住している時、その付近の踏切を実体験。なるほど~と納得&嬉しくもなりました。
その『あかずの踏切』~『はじまり』~『帰れない二人』は独立した曲ですが、KeyがE→E♭→Dと続き、メドレーになっている試みもビートルズの敏腕プロデューサー、クリス・トーマスがよくアルバムで遊ぶ内容と被ったりします。
そんな部分も当時にしては挑戦的でもありました。
『帰れない二人』は、今は亡き清志郎との合作で有名です。
この曲が有名になってきたのはつい数年の話ですが、僕は当時からこの曲が一番好きでした。
コード進行がいいのかな。今でもギターを持つと、一番に弾いてしまうイントロです。
と、曲への思い入れを1曲1曲書いていたらきりがないのでこの辺で。
陽水のすごいところはまず歌詞。意味がわからん。逆説的に言うと、どうにでもとれる。
でもそれは天才的でもあると僕は思います。唯一無二でまかりとおっているのだから。
次にその歌声ですね。あの透き通った伸びのある声は、何時間歌っても変わらないです。
すごいと思います。
しかも40年以上経った今でも変わらずというのはさらにすごい。
そんな陽水の代表作、僕は今でも崇拝している1枚です。
YouTube:http://www.youtube.com/watch?v=hVB5j9quvy4
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| 週刊木曜日私的音楽評 | 10:00 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑
陽水には特別な思い入れがあります。
高校の軽音で女の子4人グループで陽水の曲を何曲もアレンジカバーしていました。
陽水の曲では、やはりアレンジャーの星勝さんの力が大きいと思います。
75年前後は、音楽が大きく変わった時代でした。
| ayumi | 2010/08/13 02:27 | URL |