市民による市民のための音楽活動支援団体「NPO法人ARCSHIP」

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【私的音楽評】No.56 ニシセレクト17 担当ニシトオル

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かれこれ25年前の思い出。

ニュージーランド人の飲み仲間ジョナサン君が、いつものバーに大男を連れきた。
「ロスから来た大学時代の友だち、3時間前に成田に着いたばかりです」
やせっぽちのジョナサンの横で大男は腰を曲げて「コンバンハ、エリック、デス」と言った。

エリックは日本語をほとんど知らなかったが、そこは同年代の男同士。
片言の英語でロックとオンナの話しで盛り上がり、エリックは色白の巨体を揺らしてミック・ジャガーの物マネをして笑わせてくれたりした。

俺はふと前から試したかったことをするために、お店に頼んで古いシングル盤をかけてもらった。

♪上を向いて 歩こう♪
♪涙が こぼれないように♪

「エリックはこの歌を知っていますか?」
彼は少し考えた後
「スキヤキ! Sukiyaki songだろ?」と答えた。
さすがビルボードNo.1になった唯一の日本語ヒット曲だ。

「何を歌っているか、エリックなりに想像してみてくれ」
となりのジョナサンが意図をくんで、質問のニュアンスを通訳してくれた。
エリックはビールを飲みながら、坂本九が歌う日本語の“上を向いて歩こう”を2回聴いた後、おもむろに話しはじめた。
それも、なぜだか前屈みになり、小声で。
当然ジョナサンも俺も前屈みになった。

「この歌は…男の失恋の歌である」
(うん)俺が静かにうなずくとエリックが表情をくずした。
「そして好きなオンナを忘れられない」
(うん、うん)
「だからいつまでも、彼はうじうじ後悔している」
(うん、うん、そうだ)
おっ!と目を見開いたエリックはもっと小声で続けた。
「そして、そして….彼は…泣いているんだ、夜空を見上げて」
「すごい!なぜ通じるんだ」俺が声を上げると
Really? Oh! How miserable he is!(なんて彼は哀れなんだ!)
エリックが叫び、三人で大笑いした。

俺がローマ字で歌詞を書き、ジョナサンが歌詞の意味を説明した。
その晩そのバーで“上を向いて歩こう”は10回以上流れたと思う。
覚えが良いのか、エリックは店を出る頃には歌えるようになっていた。

1週間後、エリックの日本滞在の最後の晩、また3人で飲んだ。
大学院を休学してこれから世界を旅すること、将来は貿易会社をつくること、そんなエリックの夢も知った。もちろんちょっとエッチな話しもした。
帰り道、かなり酔ったエリックは通りを歩きながら“あの歌”を歌い出した。
ジョナサンが俺に耳打ちした。
「長い旅に出るなら別れて欲しいと、エリックは恋人から言われました」

♪上を向いて 歩こう♪
♪にじんだ 星をかぞえて♪
♪思い出す夏の日 ひとりぽっちの夜♪

歌い続ける大きな背中に向かって俺は日本語で叫んだ
「エリック!上を向いて歩けよ」
振り向いた大男は、はにかみながら親指でサインを出した。
「This is my song!」

sukiyaki.jpg

上を向いて歩こう(sukiyaki)/坂本 九(1963年)
http://www.youtube.com/watch?v=OdNcIed78eU&feature
エリック曰く
「このまどろっこしい東洋的なリズムが、歌詞の意味を感じる」とのこと。
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| 週刊木曜日私的音楽評 | 13:07 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

この曲の持ってる“SWING”の気持ちよさに普遍性があるんですかね

| フリーバード | 2010/07/16 00:54 | URL |

御巣鷹山で、坂本九は亡くなった。

あの夜、25年前の8月。
旅行に行くため、我が家に友人たちが集まり
出発時間調整のため、なんとなくテレビを観ていた。

「日航機、通信途絶え、行方不明」と速報が流れた。


旅行から戻り数日後、遺体の身元判明の記事に
元同僚の名前があった。
彼は大学4年生で、アルバイトとして働いていた。

実家が大阪で、夏休暇で帰省するために
あの飛行機に乗っていた。
東京から大阪へ向かう最終便だった。
ぎりぎりまで仕事をしてたのだそうだ。


大きながっしりした身体で、色黒で、歯が真っ白で、
笑顔がくしゃくしゃで・・

その前の夏には、職場の仲間たちと一緒に泊りがけで海に行った。
料理がうまくて、びっくりした。
なんか「叩いても壊れない」ってタイプの好青年だった。



「上を向いて歩こう」は子どもの頃から大好きな歌だった。

でも、あの日から、歌えない。

| aym | 2010/07/19 22:40 | URL |















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