2010.06.17 Thu
【私的音楽評】NO.52 ニシセレクト17 担当ニシトオル

時代は変わっても、ボブ・ディラン

我らが突撃広報隊長のヒロシ君は誰にでも話しかてしまう特技がある。
逆に俺は見知らぬ人から話しかけられる事が多い。
駅前で道を尋ねられたり、飲み屋でうんちく話を聞かせられたり。
先日こんなことがあった。
TSUTAYAで発作的にボブ・ディランのCDを8枚借りて、レジを過ぎると見知らぬ七三分けのオッサンが近寄ってきた。
「あのう…」と。
新手の勧誘か?身構えていると
「来日ライブ、行かれましたか?」
「はあー??? えっ?もしかしてディランの?」
無視するか。それとも立ち止まるか。
半身で迷っていると、オッサンは一方的に3月にあったZeppTokyoの話しをはじめた。
行きずりの初対面で自己紹介なし。普通の大人の行動ではないよな。
でも分かるよ、オッサン。誰かに話したかったんだろ。
これもなにかの縁だ、ディラン“観戦記”に暫し付き合った。
だってさ、オッサンの目は少年のように輝いていたんだぜ。
しばらくして冷静さを取り戻した彼は照れくさそうに
「本当に突然、失礼しました」
「楽しかったですよ。でも話しかける時、勇気が要ったでしょ?」
「話しかけちゃいましたからね。お恥ずかしい」
白髪頭の狭い額に手をあてて、彼は心底恥ずかしがっていた。
別れ際に、俺はアークシップの名刺を差し出した。
「ロックの話しができますよ。よかったら連絡してくださいね」
彼は“大人”に戻って名刺を両手で受け取った。そのしぐさが妙におかしかった。
ご存じのように、ボブ・ディランはビートルズと並ぶほどの世界的なロックスターだ。
でも取っ付きにくいのか、日本の一般のリスナーには縁遠いようだ。
俺はそれが残念でならない。
「ボブ・ディランってどこがイイの?」
若い人にそう訊かれたら「メロディ」と答える。
まるで天から降ってきて、歌い継がれてきたようなメロディライン。
それはディランのぶっきらぼうな歌い方より、カバーバージョンの方が伝わりやすいかもしれない。
だから今回はあえて、フィルコリンズがカバーした「時代は変わる」を聴いて欲しいな。
賛美歌のように素敵なメロディなんだ。
フィルコリンズ「時代は変わる」

http://www.youtube.com/watch?v=FgFyTTrGAVg&feature
そしてこちらが本家本元、ディランの「時代は変わる」

ボブ・ディラン「時代は変わる」(The Times They Are A-Changin')
http://www.youtube.com/watch?v=7sUOPjJ2uQI
| 週刊木曜日私的音楽評 | 10:00 | comments:9 | trackbacks:0 | TOP↑
ディランのどこがいいか。
自分ならこう答えます。
最高のロックンロールライターだと。
| freebird | 2010/06/17 14:29 | URL |