2009.11.12 Thu
【私的音楽評】NO.22 ニシセレクト7 担当:ニシトオル

【ニシセレクトその7】
ハンバートハンバート「おなじ話」アルバム「11のみじかい話」より

ヨコハマフッドのセミファイナルでラブソングを聴いていて…。
あいたい。はなしたい。みつめていたい。ふれていたい。
恋するきもち、こころのゆらぎは、どんなに科学が進歩してもかわらない。
ケータイとかメールとか人の触れ合い方が変わって云々とか言われるけど、すくなくとも「恋をする」その本質は昔となんら変わっちゃいないのですね。
安心したよ、オジサンは。
そんなセミファイナルで素敵な歌を披露してくれた若いミュージシャンにもぜひ聴いてほしい歌を紹介します。
ハンバートハンバート「おなじ話」(2005年)
彼らの歌には奥行きがあり、少し怖さすらあります。
ここでいう“怖さ”とは恐ろしさではなく、人と人が出会う偶然とか別れ、運命や業(ごう)のようなものです。
こう書くと何やらむつかしそうだけど、歌詞は実に短く “ひらがな的”で、佐野遊穂さんの伸びやかな歌声で柔らかく届きます。
まるでホカホカご飯とか焼きたてのパンのような、しみじみとした味わい。たぶんそれはブリティッシュカントリーをベースに、日本のフォークや北欧民謡のエッセンスでくるまれた土の香りがするサウンドのおかげでしょう。
「おなじ話」は認め合う二人もけっしてひとつにはなれない、あまりにもせつないラブソング。
でもそこには余白がある短い言葉で人間が描かれています。だから聴くひとのハートをあたたかくして人恋しくさせます。
暮らしにくい今の世の中、人間を描いた土の香りがする歌が求められているのかもしれません。
ぜひ聴いてみてください。
【リンク先はこちら。ライブ映像です】
http://www.youtube.com/watch?v=15dJtvSMC6k&feature=player_embedded
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| 週刊木曜日私的音楽評 | 18:56 | comments(-) | trackbacks:0 | TOP↑