2009.08.27 Thu
【私的音楽評】NO.11 五十嵐セレクトその4 担当:五十嵐

【五十嵐セレクトその4】
㈰Steal Away / Hank Jones & Charlie Haden

㈪Moments from This Theatre / Dann Pen & Spooner Oldham

㈫Songs for Drella / Lou Reed & John Cale

ドラムスという職業柄自分には経験がないけど、
デュオ(で弾き語り)というのは難しい編成だと思う。
二人だから、基本的に音圧が低いし、
どちらかが間違えるとすぐにわかってしまうし、演奏できる曲にも制限があるし、
タイミングの取り方も微妙である。
それでもストリート等でデュオ編成を結構見かけるのは、そうした緊張感を好むミュージシャンが相当数いるからなのだろう。
自分が思うに、デュオがうまくいくパターンは、
まったく異なるキャラクターのペアか、色々な意味で似たようなキャラクターのペアでは
なかろうか。
この推測は(自分の経験からしても)うまくいく男女にもあてはまるかもしれない。要は、自分に似ているから安心するのか、自分にないものを
持っているところに惹かれるかのどっちかというわけだ。
ただ、観ていておもしろい(かつ、飽きない)のは、
異なるキャラで、異なる音楽性を持つ、エッジの立ったデュオだと思いませんか?
今回は3枚のデュオアルバムをご紹介します。
ハンク・ジョーンズ(P)とチャーリー・ヘイデン(B)のデュオは、
オーソドックスなピアニストとフリージャズ出身のベーシストという、まさに意表をつく組み合わせで、アメリカの黒人霊歌や古い民衆歌を取り上げたアルバム。
精緻な仲にもジワっと温かみがこみ上げてくる名盤。
冬にホット・ウイスキーでも飲みながら聞きたいです。
逆に、ダン・ペン(G、Vo)とスプーナー・オールダム(Key)の組み合わせは、しょっちゅう顔を合わせている顔なじみが組んだデュオで、容易に想像できる通り、僕好みのサウスアメリカンビジョンが展開されています。
やっぱり、バーボンを飲みながら聞きたいです。
最後に、ルー・リード(G)とジョン・ケール(Key他)の組み合わせは幼馴染の久しりの再開といった風情で、このアルバムはアンディ・ウォーホールに捧げられています。ひんやりとした中に狂気が垣間見え、ルー・リードが数年に一度見せる
アバンギャルドな世界観が提示されています。
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| 週刊木曜日私的音楽評 | 10:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑